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主に雑談。キャプ画像はございませんm(_ _)m。
by fotomuzik
怖いもの
 小学校高学年や中学生のころは、怪談とか心霊写真が怖かった。修学旅行の夜には(いまではほとんどギャグだとした思えないような)怪談で夜更かししたし、『ムー』というカルトな雑誌が心霊写真特集号になると、必ずクラスのだれかが学校に持ってきて、みんなで「こえぇぇぇっ」、「うわぁ」などと騒いで鳥肌を立てたものだ。

 でも今はたいして怖くない(いい感じはしないが)。うつ病を経験したことが大きな理由だと思う。

 怪談は語り手がうまければ、一時的な恐怖を楽しむこともできる。でもそれは話芸の部類であって、根源的な恐怖じゃない。

 「うつ病」で検索すると、「こころの風邪」という表現によく出くわす。けれども僕が体験したウツ状態というのは、そんな生易しいものじゃなかった。そのときどきの状態によって、ことばで表現できる内容は違う。ただ、一貫しているのは、自分がいる場所は常に暗く、冷えきっていて、へたに動くと危険だということだ。

 ウツ状態が重いころは、レンガ造りの家にひとりぽっちで住んでいるイメージだった。家の外には何もなく、陽も差していない。少し良くなって、ウツ状態と“ふつう”の状態が周期的に訪れるようになってからは、水辺に立っているイメージになった。状態が悪いとき、足は冷たい波に浸かっている。それが、打ち寄せた波なのか、満ち潮なのかはわからない。状態が少し改善すれば、足は濡れない。潮は引く。しかしどちらにしても、自分が面している海は、僕が子どものころ海水浴で経験したような遠浅ではなく、数歩進むと急激な深みになっているのがわかる。その深みに入ってしまうのはとても危険だ。その怖さと言ったら心霊写真なんかの比ではない。存在自体を奪い去られるような恐怖感だ。もしうつ病が“こころの風邪”なら、進んでその風邪とやらを引くほうを選びたい。
 うつ病の患者さんは増えていると聞く。潜在的患者を含めると、たぶんかなりの数になるだろう。みんなそういう精神的体験をするのだろうか…。

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by fotomuzik | 2009-03-28 19:27 | うつ病
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